この記事は、大学編入を一度考えた結果結局しなかった人間の体験記です。 編入を志したきっかけや、編入試験に向けておこなった対策、編入を辞めて大学を卒業した感想等、 これから編入を考えている方々に対して参考になるような体験を共有できたらと思い、執筆しております。

とても長くなるので、

に分けて記載します。
※執筆途中で内容や構成が変更される場合があります。

簡単な自己紹介

「情報アクセス技術」を中心に研究活動をおこなっているものです。 2021年4月に静岡大学情報学部に入学しました。 名古屋大学情報学部自然情報学科の3年次編入を考えていました。 2025年3月に卒業し、4月から同大学の大学院に進学します。

本記事の要約

  • 進学先にコンプレックスを感じ、編入を目指した。
  • 編入試験のために、英語、数学、小論文の対策をした。
  • 編入先での目的が曖昧であったため、編入を辞めた。
  • 編入先でやりたいことが明確ならば編入を目指すべし。

それでは、以下がメインコンテンツです。

編入を決めた理由編

一件目のポスター発表の様子 編入を決めた理由は、自分の受験結果にコンプレックスを抱えていたためです。

高校三年生の私は、志望校の前期試験に落ちました。 自信満々に受験した私の頭には、失敗した時のプランなどありませんでした。 残された選択肢は「後期試験の静岡大学への進学」か「立命館大学への進学」か「浪人」でした。

恥ずかしながら、当時の自分はどちらの選択肢にも小さなコンプレックスを抱いていました。 しかし「浪人」という選択肢は採りたくはないという、なんともわがままな坊やでした。

進路を決めるために、多種多様な媒体から体験記や卒業生の進路などを手当たり次第に調べていました。 その中には、「国公立大学の方が評判が良い」「関関同立の方が就職が楽」「迷ったら浪人すべし」などなど、 先人たちの様々な意見が溢れていました。

その中で出会ったのが「大学3年次編入」という新たな選択肢です。 その名の通り、3年次から別の大学に編入できるという制度です。 浪人はしたくないが、今よりもっと良い大学に行きたい私にとって、夢のような選択肢でした。

※「良い大学」の定義はありません。当時の私にとっての「良い大学」とは、自分の進学先の大学よりも偏差値が高い大学を指しています。

そこで私は、「一人暮らしをしながら静岡大学に通い、編入試験の勉強をして他大学に編入しよう」と決意しました。

立命館大学ではなく静岡大学に進学したのは、家庭の事情が関わっています。

当時父から、「国公立大学なら一人暮らしの補助はできる」と言われておりました。 立命館大学は実家から通うことはできるものの、やや時間を要する距離にありました。 加えて、当然ですが私立大学は高額な学費を要します。 なるだけ勉強の時間を増やしたいと思った私は、大学の近くで一人暮らしができる静岡大学を選びました。

そこからの私は、編入体験記をひたすら読み漁り、早速試験に必要なTOEICの勉強から初めてみました。

対策編

編入試験の対策について、英語、数学、小論文に分けて話します。

編入試験の科目は、編入先の大学や学部によって異なります。 私は名古屋大学情報学部自然情報学科への編入を考えていたため、 この三科目に注力していました。

必要科目や出題範囲などは年度によって異なるため、編入を考えている方は編入先の募集要項を確認してください。

時間は有限なので、むやみに勉強を始める前に、志望校の試験に必要な科目と出題範囲をしっかり把握しましょう。

編入先の分野をしっかり定めておくことも大切です。
例えば、工学部と経済学部を併願する場合、数学も物理も経済学も論述も…といったように、必要な対策が多すぎて天手古舞になってしまいます。

英語

大学1年次の春からTOEICの対策を始めました。 英語の得点はTOEICなどの外部試験の得点を元に計算されるためです。 点数の換算は編入先の大学によって異なります。

大学1年次時点での私の英語力の目安は、

  • 大学入学共通テストの英語の得点が8割強
  • 1年次5月のTOEIC L&Rが585点
    となります。人より多少英語には自身がありました。

TOEIC対策は、書籍を購入して独学でおこないました。
外部の講義等は利用していません。

いろんな書籍を購入した中で、特によかったと思う書籍をまとめておきます。
※アフィリエイトではありません。
※()内は通称

  • TOEIC L&R TEST 出る単特急 金のフレーズ(金フレ)
  • TOEIC L&Rテスト 文法問題 でる1000問(でる1000)
  • 公式TOEIC Listening & Reading 問題集(公式問題集)
  • TOEIC L&R テスト 究極のゼミ(究極のゼミ)

どれもTOEIC経験者からすれば王道に感じると思いますが、正直王道なもので十分です。 いろんな書籍をはしごするよりも、一冊一冊を穴が開くまで使い倒した方が良いです。

勉強方法は、

  • 金フレを肌身離さず読む。声に出しながら。
  • 究極のゼミで大問ごとの解き方を覚える。
  • でる1000を何週もして文法を覚える。
  • 時間を計りながら公式問題集で全体演習をする。

です。

TOEICの勉強法は後日一つの記事としてまとめる予定です。

ガッツリ対策を始めたのは1年次の8月でした。 10月、12月、1月、2月の計4回受験した結果、

705点→825点→815点→880点

のような結果でした。

当時の募集要項では、880点でだいたい80点後半くらいの点数換算であったため、この時点でTOEICの対策は終了しました。 TOIEC対策は、大学の講義やレポート、試験に加えて、数学と小論文の対策と並行していました。

数学

数学と小論文は、書籍による学習と合わせて、ECC編入予備校のオンライン講義を活用しました。 1年次に微積分と線形代数の講義があったため、大学の講義が編入試験対策を兼ねている感じになっていました。

この二科目は、名古屋大学に直接出向いて過去問を見ることができるほか、募集要項にも出題範囲が記載されていました。 私は1年次の冬頃に大学に出向き、この目で過去問を確認してきました。

学習に使用した書籍は以下の通りです。
※アフィリエイトではありません。
※()内は通称

  • 演習 微分積分キャンパス・ゼミ(マセマ微積)
  • 演習 線形代数キャンパス・ゼミ(マセマ線形代数)
  • 編入数学徹底研究: 頻出問題と過去問題の演習(徹底研究)

オンライン講義の詳しい内容は述べられませんが、 「事前課題を解く→動画を視聴する→演習問題を解く」のような流れで学習をおこないました。

ECC編入学院では2年次の春ごろに模擬試験がありました。 郵送されてくる問題を自宅で解く形式でした。 受験者数が少ないものの、数学は全国1位(100点満点中80点)でした。

模試や演習を通して、数学も問題ないだろうという感じでした。

小論文

小論文はどのように対策していいのか分からなかったため、ひとまずECC編入予備校のオンライン講義を受講しました。

募集要項内には「出題される課題についての論述」とあり、その場で文章と課題を読んで意見する必要があります。

数学と同じくオンライン講義の詳細は述べられませんが、こちらも同様に動画の視聴と演習がメインでした。 郵送すれば、小論文の添削もしていただきました。

また、なるべく読書をする習慣も付けていました。 目安として、1か月に3冊ほど読んでいた感覚です。

中でも読んでいて特に印象に残ったものは、
※アフィリエイトではありません。

  • 学びを結果に変えるアウトプット大全
  • 「考える技術」と「地頭力」がいっきに身につく 東大思考

の2冊になります。
これらの書籍の内容は、日常での考え方や勉強方法にも活用できます。

小論文対策には、とにかく書いてみることと論理的な文章を読むこと論理的な思考方法を学ぶことが必要だと思います。

大学生活編

編入対策中の大学生活、編入を辞めた経緯、その後の大学生活について話します。
大学生活はそこまで多忙ではなかったものの、編入のことが常に頭の中に住み込み、精神的に不安定な時が多かった印象です。

編入対策中の大学生活

編入試験の対策期間は、他の学生と同様に大学で講義を受けていました。 大学1年次はコロナ禍の規制緩和直前であったため、オンラインでおこなわれる講義が多く、直接キャンパスに出向く機会はあまりありませんでした。

編入試験の勉強が大学の単位等に悪影響を及ぼすことはありませんでした。 むしろ、数学や英語は大学でも講義がおこなわれるため、学習内容が活かされる機会が多いと感じました。

編入を考えていることは、親しい友人数名には伝えており、自ら進んで口に出すことはありませんでした。 編入体験記を書いている他の方の中には、「編入することは他言しない方がいい」という考えの方もいますが、 誰にも言わずにふさぎこむよりも理解のある友人を作って伝えておくと良いと思います。

アルバイトは単発や短期間のみのものを選んでいました。 イベントのグッズ販売やチラシ配りなどがメインでした。

そのおかげで勉強の時間は割と確保できましたが、収支が安定せず、金銭的にも精神的にも不安定な暮らしをしていた記憶があります。

編入を辞めた経緯

ここまで入念に対策や下調べをおこないましたが、結果私はどの大学の編入試験も受けませんでした

理由は、大学生活を続けていく中で、編入先の大学でやりたいことが明確でないとようやく自覚したからです。

思い返せば、編入という選択肢を選んだ大きな理由は自分の進学先にコンプレックスがあったからでした。

しかし、まだ入学もせずキャンパスライフをろくに送ってもいない分際で、進学先に勝手に不満やコンプレックスを感じていたのです。

編入先の大学でやりたいことが特別あるわけでもないため、編入が成功していてもその環境に満足してしまっていたでしょう。

決断をしたのは大学2年次になりたての辺りでした。
ちょうど名古屋大学の出願直前です。

編入を辞める旨を予備校のチューターと両親に伝えた後は、しばらく虚無に苛まれました。

その後の大学生活

編入を辞める決断をしてからの大学生活について話します。
今いる大学だけにようやく向き合うことができるようになり、ようやく視界が色づいたような気がしました。

まずは長期アルバイトに申し込みました。
「アパレルで働いてみたい」という夢を叶えるために、UNIQLOに電話を掛けました。 面接直後に採用していただき、2025年現在まで楽しいアパレル店員ライフを送っています。

3年次には研究室配属がありました。 この辺りでようやく自分のやりたいことの輪郭が浮かび上がってきました。

研究室の教員による手厚い指導のおかげで、3年次から学会発表の経験をさせていただいたり、 TA(Teaching Assistant)として教員の講義を手伝ったりと、この大学のこの研究室でしかできない 体験をたくさんさせていただきました。

本サイトのResearchesAwards欄が既に充実しているのがその証拠です。

この選択が失敗であると後悔しないよう、いまの環境でできる精一杯を成したと思っています。

どんな人が編入に向いているか

大学4年間を駆け抜けてみた私が考える、「どんな人が編入に向いているか」についての主観的な意見です。

編入に向いているのは編入先でやりたいことがある人です。

私は名古屋大学でやりたいこと、名古屋大学でしかできないことを上手に言語化できませんでした。

なので、今なんのために数学や小論文の勉強をしているのか、だんだんわからなくなっていきました。

上述ではなんだか美談化していますが、私の編入は半分以上あきらめに近いです。

しかし、目的がないからといって行動を起こさないというのは大変もったいないです。 例えば、私が勉強を続けていく中で「〇〇大学で△△がどうしてもやりたい!」という動機が生まれていれば、試験まで一直線だったかもしれません。

この記事を読んでいる方の中で、まだはっきり編入の目的が言語化できなくても、まずは過去の募集要項や過去問を見てみる等、 できることはたくさんあります。

もちろん勉強時間を確保することは大事ですが、それと同じくらい自分と向き合い、自分はこの先どんなことをやっていきたいのか、 はっきりさせておくことが大事です。

大学編入はあくまでも、人生の中でなにか成し遂げたいことのための手段にすぎません。

もし自分の進学先を馬鹿にするような輩が現れるようなら、今の環境で研究なりビジコンなりでちゃんと成果を出して黙らせましょう。

まとめ

体験記の総括です。

編入のために試験勉強と大学生活を並行してきた約1年半の生活は、とても貴重な体験だと思っています。

試験までにどんな勉強をどのようにしたらいいのか、自分で計画を立てて取り組み、TOEICなどの小さな成果を残せたことは、 今の自分にとって大きな自信となっています。

ただ、その編入が目的化し、その先に自分がやりたいことを言語化できなかった自分をやや悔やんでいます。

この経験は、今後私が就活をする際に活かしていこうと思っています。

また当然ですが、支えていただいた家族や友人、予備校の先生方には大変感謝しております。

この体験記が、当時の私のように悩んでいる人の助けになることを願っています。

編入関係でも進路関係でも、気になることや悩み等、私で良ければなんでも聞きます。 気軽にXのDM等でご連絡下さい。

可能な限り力になります。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

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